石川 明日香(以下Asuka)
今回の対談では
「ママ業もやりつつ、どうやって仕事と両立させているの」とか、
「どうやって今のお仕事を選んだの」など、
私も聞いてみたいことを話していきたいと思います。
直さんはMediamのイメージが強いですけど、
Mediamはどういった経緯でやられることになったんですか?
中場 直(以下 Nao)
Mediamをやるまではずっとレディースアパレルをやってきて、
デザインとかディレクションをする仕事をしていてそこで11年かな、働いて。
40歳を機に、独立してMediamを始めました。
Mediamを始めようと思って(前職を)辞めたわけではないんだけど、実際チャレンジしてみたいことを形にするには、
会社に所属するよりも自分のお金というか、自分を使ってやっていくことしかないなと思ったから。
ちょうど夫もそのタイミングで仕事を独立するっていうのがあって、
いろいろ話をしていく中で自分たちができることをやってみようかみたいな話から、
自分たちのブランドを立ち上げるっていう形になって。
ちょうど子供もいたからなんか自然とそうなった。
今もそうだけど、絶対にお洋服を作ることじゃなきゃいけないと思ってなくて。
その時に自分たちができることや、やりたいことを形にしていくブランドにしようというのがテーマ。
ずっとアパレルでやってきて、私はデザインもしてきたから、それが今私が一番出来ること。
だからまず洋服で始めてるけど、この形はこれからもどんどん変化していく、
それを楽しむブランドとしてスタートさせたっていう感じですね。
Asuka
凄いですよね、ご夫婦でやられてるのが。
南村 麻美(以下Chami)
素敵〜!
さらにまたここから変化すると思ったら凄い楽しみ。
Nao
会社に所属すると一定のお客様に提供するために変えるということはあまり選べなけど、
個人でやるっていうことは変化することを楽しめるというか。
その時代とともに、自分たちの気持ちも変わっていくのを自分たちの責任でやるということだから、
それが強みでもあり、時に不安な気持ちもあるけれど、でも一番楽しめるかなって。
(旦那さんとの)喧嘩はね、付き物ではありますけど(笑)
でもお互い別々の場所で働いていた時よりは、得意分野が分かったというか。
そういったところはプラスに働いているかなって思ってます
Asuka
面白いですね、これからどんな感じになっていくかって。
Nao
そう、いろんな世の中の状況とともにやっぱり自分も刺激を受けて変わっていくから。
モノづくりの仕方っていうのも全然変わってきているし。
はじめから量産型の洋服を作って安く売るっていうのはやりたいと思っていなかったし、
欲しいものだけ作っていこうというのをテーマにしている。
大きい会社の中にいて出来たことが全然出来なくなったりとか壁はあるけど、
その分じっくり考えながら一歩踏み出せるところはあって。
「あぁ、なんか大変なことあったけど、私たち進化したね」みたいな。
いつもそんなことをお互い言いながらやってます。
Asuka
目指すところが二人一緒だから成り立つんですよね。きっと。
Nao
そうだね、それはあるかも。
Asuka
Chamiさんももう長いですよね、この業界。
Chami
そうですね、2004年からBEAMSに入社して、お店を経験し、そこからVMDという仕事をし、
レディースの企画だったり、商品マネージャーをして、2016年に出産を機に産休に入って、復職するタイミングでキッズの企画・・・という流れになりましたね。
2人目を育休中にたまたま主人がこういうことを始めるっていうので(撮影場所のBell bloom)育休中、
なんかやりたいけどまだ仕事復帰していないし、何か手伝えることあれば手伝うっていうスタンスで今も継続して手伝っています。
Asuka
Bell bloomでは今はディレクターみたいな感じですよね。
商品セレクトとかChamiさんがやっているんですか?
Chami
そうですね、口出させてもらってる(笑)
Asuka
Chamiさんのインスタの世界観そのままただから、凄い可愛い!
Chami
これを始めたきっかけがあるんです。
主人の実家でずっと使っていたラタン製のベビーベットがあって。
凄く素敵だったから譲ってもらって、子供たちをそこに寝かさせて実際に使っていたんですよ。
それをインスタとかに載せていたら、
「このベビーベッドどこのですか?アンティークですか?」
っていう問い合わせがたくさんきて。
確かに年代物って探してもなかなか無いし、可愛いベビーベッドって日本にあんまり無いよねーっていうのを夫婦で話していて
「じゃあ作らない?」って。
最初は可愛いベビーベットを日本に訴求したいっていうとこから始まって、
そこからだんだんお店になっていきました。
Asuka
確かに無いですよね。
正直、すごく需要があるかって言ったら、みんながみんな置ける住環境では無いけど探すと無いっていう。
Chami
でも使いたい人はいるだろうし、かといって海外から商品も見ないで赤ちゃんを乗せるものを買うっていうのは不安はあるだろし、
送料もすごい掛かるだろうし・・・
そういう人たちに届けたいかったんですよね。
私が今一番わかっていることは、
私はスタイリングを組むことが好きなんだなって。
Nao
Asuka
ファッションにいくきっかけって、なにかありました?
「そもそも好きなことが見つからない」と相談を受けることも多くて。
何がやりたいか分からないっていうのは、若い時の悩みだけじゃなくて、生活が変わってきたり、
環境が変わってきて、やっぱり30代前後も悩むところだと思うんですよね。
Nao
確かに。いろいろ変わっていく時期だもんね。
Asuka
それってどうやって見つけました?
Chami
でも服は好きでしたよね?
Nao
私は洋服は絶対に好きで。
だからその洋服に携わる何かをしたいなっていうのは常にあったから
やりたいことは、そうなると決まっていたのかもしれない。
まずは服を着ることを仕事にしたいっていうのが私はあったから、スタートはお店の販売員。
そのシーズンの一番トレンドの服を着れるっていうことが楽しみだった。
Asuka
それが自然に入ってくる人もいれば、なかなか見つからない人もいるから・・・
どうしたらいいんですかね。
Nao
なんかちょっとでも引っ掛かったら試してみる!みたいなのはどうかな。
私もアパレルの中にいるけど、自分がどの分野が得意かっていうのは、当時は分からなかった。
今思えば接客なんて実際全然得意じゃなくて。
でも一緒に働いている人たちがなんとなく見出してくれたっていうか。
私が今一番わかっていることは、私はスタイリングを組むことが好きなんだなって。
それが分かったのは当時一緒に働いていた先輩から
「ナオ、マネキンのスタイリング決めてよ」って役職をもらったから。
その後、服飾の学校は出ていないんだけど「服のデザインとか企画提案してみない?」って導いてもらえて。
なんとなく流れに身を任せても、思ってもいない道が開ける場合もある。
興味があることはとりあえずやってみる、みたいな感じかな。
Asuka
確かにそこに飛び込んじゃった方が、道が開けてくるっていうのはありますよね。
私もファッションとかアパレルに携われる仕事がしたいって漠然と思ったのが19歳ぐらいの時なんですけど、
アパレルとかファッションの仕事って言っても、どういう業種があるかさえ分かってなかったから。
でもやっていく中で見えていくというか。
ここが自分が得意でここが向いていないとか。
Chami
アパレルもプレス業もあれば、VMDもあるし、デザイナーもあるし・・・
いろいろありますもんね。
Asuka
それ以外の分野も、今って選択肢が多いからこそ悩むんでしょうね。
Nao
いろいろありすぎるというか。
どういう風にでも仕事になるような環境になりつつあるよね、今の時代って。
Asuka
だからこそなんでも飛び込んでやってみた方がいいんですかね、きっと。
だって子供がいるとなかなか自分に時間もかけられないじゃないですか。
(子供が)いない時と同じ感覚で仕事するのって無理だと思うんですよね。
Asuka
Asuka
ママになってから働き方って変わりました?
Nao
私はすごい変わった!
子供が産まれるまでは夜中まで仕事をして、休みの日も仕事のことを考えているような生活を送っていた。
それがもう普通すぎて、どうやって変えていっていいのか分からなかったんだけど、子供を産んだのを機に、
子供をしっかりと育てるというのが自分の生活の軸になり、
会社の方でも働き方の提案があったりして、そこでやっと変われたというか。
Asuka
産むタイミング考えました?
アパレルってずーっと走り続けてるから、産むタイミング難しいじゃないですか。
Chami&Nao
わかる〜!!!
Chami
しかも女性って特にここまで積み上げてきたキャリアがゼロに戻っちゃうというか、
どんどん人が入れ替わって、若い子に循環していくから
「戻った時に私のポジションてあるの?」みたいな不安はありますよね。
Nao
私は無鉄砲だったかもしれない。
でも、結婚を35歳までにしたいっていうのはすごくあった。
実際35歳よりも前に結婚したんだけど、子供は良きタイミングでって思っていて。
出来たその時がタイミングみたいな。
そのかわり、やっぱり自分のタイミングで子供を産むわけだから、
産休までの間自分がどういう風に仕事していくかはきっちりと決めて、上司に自分で持ちかけた。
「そういうキャリアを歩んでいいんだよ、みんな。」
って思えるように責任ある仕事の仕方をして、子供を産んで、っていう形を作ろうって自分の中にあって。
一応そこは頑張ったかなって。一人目の時に。
Asuka
責任ある立場の人がそういう風に形を作ってくれると
「あ、大丈夫なんだ」
ってすごく安心するかも。
Nao
ね、なんか手放しで喜べないって部分もあるからね。
自分の存在がしばらく休んでしまって「居なくてもいい存在」にならないように、
しっかり土台を作っていきたいというのはあった。
Asuka
会社にいて出産するのって、その不安は絶対ありますよね。
Chami
ありますね。
私も一人目の出産の時はレディースをやっていたんですけど、
育休から戻ったらレディースのファッション出来るかなってすごい不安があって・・・
結果、私にはもう出来なかったです。
Asuka
自分の感覚的なもので、ですか?
Chami
そう、子供の服の方が楽しくなってしまって。それにもうレディースの服を追えないし、
こんな状況で企画もディレクションも出来ないと思ってしまって。
それで育休中上司に「私もこういう状況になって、子供もどんどん成長してきて、
子供の洋服の方が私の力を生かせます」って自分でキッズやらせてくださいって言いました。
キッズっていうポジションがあったからよかったけど
もし無かったらどうしてたんだろうって思いますね。
Asuka
女性は難しいですよね、そういうところも。
だって子供がいるとなかなか自分に時間もかけられないじゃないですか。
(子供が)いない時と同じ感覚で仕事するのって無理だと思うんですよね。
Chami
無理ですね、それは。
Asuka
Naoさんもうすぐ3人目が産まれますけど、独立してから始めての出産ですよね!
Nao
会社に守られてた頃とは勝手が違う部分はあるから、
より仕事と生活が密接になるというか。
いつまで働くかっていうのも。結局ギリギリまで働いてしまいそう。
Asuka
自分で(ビジネスを)やっていると休めないですよね。
Nao
そう、だから基本的に休むっていうことは考えていなくて。(笑)
きっと何らかの仕事は始まるし。
育休で1年お休みとかそういうのは無いから。
だからここからはチャレンジ!
でもこのMediamを始めてから、徐々に地ならしをしているというか、
自分のスタイルを作り始めているから、どうにかやっていけるのかな〜ぐらいの気持ちで常にやってます。
あまりすごい先の未来まで考えていなくて、ほんのちょっと先・・・
言っても1年ぐらい先のところを見ながら。
Asuka
なおさんはポジティブですよね!すごく。
Nao
本当に「なるようになる!」って思ってる。(笑)
Asuka
実際なってみないと分からないですもんね!
Nao
うん、なんかその先がどうなるのか分からないって不安になっちゃったら
手も足も出なくなっちゃうから。
Asuka
パパもそうですか?
Nao
パパは慎重派。(笑)
私はこうやってずっとやってきちゃったから。
結構思いつくとすぐにバーンとやっちゃうタイプ。
これでも昔よりマシになったんだけど(笑)
ある程度考えるようになったし、慎重にもなったけど、
あんまり考えすぎてしまうと動けなくなっちゃう。
Chami
ご夫婦でバランスがいいですよね。慎重派の旦那さんとナオさんと。
多分(旦那さんは)ブレーキもかけてますよね。
Nao
そう。(旦那は)現実的だから、苦しい部分はあると思う。
夢みがちだから、私が。(笑)
Asuka
クリエイティブなナオさんと、それを支える旦那さん。
いいバランス!
Nao
そうあるといいなって。
うちの両親が、父がジュエリーを作っていて、母がマネージメントするスタイルで二人が成立していて。
Chami
じゃあそういうのずっとみてきたんですね。
Nao
それが私の憧れではある。まぁそんな風になれるわけでは無いけれど、
自分と違う感覚を持ってる人が一緒にいてくれるということで
補ってくれるみたいな部分は本当にそういう関係性ってあるんだなって。
今になって感じている部分はあって。
現実を見てくれる人がいるから「やってみよう」って思えるし、
感謝しなくちゃいけないよね。
Chami
展示会に行ってもそれをすごく感じます。
なんか、旦那さんがいて安心しますよね。
デザイナーのナオさんをしっかり支えている感じがします。
Nao
いい仕事しているのかもしれない(笑)
Asuka
チャミさんのところも旦那さんまた雰囲気違いますよね。
雰囲気違うというか、得意分野が違いそうなイメージ!(笑)
Chami
ナオさんのお話聞いていると似ているかもしれないです。
タイプはどっちかというと慎重派。
旦那さんは数字が見れるタイプで、私は全く見れない方(笑)
Nao
数字大事ですよね(笑)
Chami
もちろんぶつかっちゃうこともあるんですけど
「もっと行こうよ!」ってタイプと「現実を見てくれるタイプ」で。
Asuka
いいバランスですね、
妊娠中とか、産まれてからって、パパのサポートありました?
Chami
めちゃくちゃありました。
うちはパパのサポートが無いと回んないですね。
凄くやってくれてる方だと思います。
また妊婦さんになりたいです(笑)
Chami
Asuka
産んでからも大変ですけど、妊娠中も結構大変じゃないですか。
大変だったことあります?妊娠中働いていて。
Chami
私はそんなにつわりもきつくなくて、結構元気な妊婦だったんですよ。
妊婦中もお腹に赤ちゃんがいることを幸せに思えるタイプというか。
たまにナーバスになる妊婦さんもいるじゃないですか。
それに比べると、すごい幸せ!って思いながら毎日過ごしていて。
だからつわりが酷くて会社休んじゃうとかはなくて。
もちろん、お腹が張って休憩するみたいなことはありましたけど。
辛い妊婦生活ではなくて。
また妊婦さんになりたいです。(笑)
Asuka
そう思ってたらなれますよ!(笑)
Chami
実際、その後を考えると、あぁ・・・ってなるんですけど(笑)
Nao
素敵!子供にも伝わってると思う。
Asuka
私は妊娠中辛くて嫌でしょうがない人だったから。
つわりがでずっとノロウィルスにかかってるみたいだったし。
それに私は仕事との両立が難しくて。
周りがすごい気を使ってくれるじゃないですか。
当時は私も若かったのもあるんですけど、もっと働きたいっていうのがあったので。
気を遣われれば遣われるほど、「いや、私はもっと出来る!」って感じになってしまって。
だから、私はナオさんとは逆で、今の方が先のことを考えなくなったというか。
昔の方が先のことばっか考えていた。
「今こんなに大変で辛くて産んでからどうしよう」みたいなことはずっと悩んでいたので
あまりいい思い出が妊婦生活でなかったんですけど。(笑)
そういう意味ではある程度経験値ができて、心に余裕がある年齢で産んだ方が楽しい妊婦生活が送れそう。育児も含めて。
ナオさんもそうですけど、私の周りには30後半〜40代でも楽しく仕事しながら子供を産んで育てる人がいっぱいいるからなんか、
自分に余裕ができてからの方が良いこともあるなって。
Nao
確かに。やり尽くしたじゃ無いけど、結構好きにやらせてもらってやっと自分が落ち着けたというか。
子供たちにスポットライトを当てられるようになれた段階で子供の存在が近くにあるという感じかもしれない。
Asuka
なんか、昔はがむしゃらすぎて。
24歳で産んだので、周りに同じ状況の人もいないし、仕事もしたいし。
だからちょっと辛かったです。
とにかく気持ち的に余裕がなくて、今みたいな感覚じゃなかった。
Chami
逆に24歳でママになれるってすごいですけどね!
Asuka
そこはあまり何にも考えてなかったんですよね(笑)
今となっては子供たちと友達みたいなので、すごいいいんですけど。
Chami
本当好きです、石川さんファミリー。ほんと好き!
・・・後編に続きます。(近日公開予定)
中場 直
レディースブランドのクリエイティブディレクターを経て、独自のファッションスタイルをベースに、
ブランドや時代の壁を越え「形にとらわれずファッションを楽しむ」ことをコンセプトにしたウィメンズ・キッズブランド"Mediam"を手掛ける。
南村 麻美
2004年BEAMSに入社後、販売員、VMD、レディース商品マネージャーを経て、
現在は2児の姉妹の母となりB:MING by BEAMS Kids商品マネージャーを担当。
その傍ら、夫が営むkids,babyのインテリアショップを手伝う。
YouTubeで対談動画(前編)を配信中!
後編は後日公開予定。
チャンネル登録もお忘れなく。
撮影協力:Bell Bloom代官山
〒150-0035 東京都渋谷区鉢山町15-2 2F
10:00〜18:00
定休日/水曜日
Instagram @belle__bloom
使用する期間は短いけれど 大切に時を刻み、
大事に受け継いで欲しいという 想いが詰まったライフアイテムを提案します。
コンセプトは「繋ぐ」。
Photographer : Toyohide Kanda
Movie : Lisa Fukuda