リゾナーレ那須のお米の学校は2021年からスタートし、今年は2年目。
敷地内にある大きな田んぼで、4月から10月までの間、種まきから収穫まで宿泊しているゲストと共に行います。
栃木県・那須町のお米農家「稲作本店(FARM1739)」の協力のもと実現したこのプロジェクト。
リゾート施設である星野リゾート リゾナーレ那須は、なぜお米作りをスタートしたのでしょうか。
田んぼの原風景や米食文化の
継承を目指したプロジェクト
お米を作る場所も、食べる量も減っていっているのを知っていますか?
日本における田んぼの面積は、農林水産省のデータによると、昭和40年の約312.3万haから令和2年の約237.9万haと減少して、
また、一人あたりのお米の消費量も、昭和40年の111.7kg から令和2年の50.7kgと半減しています。
「このままでは日本のお米作りはどうなってしまうの」
「未来の子どもたちは安心して日本のお米を食べられるの」
そんな疑問が頭を過ぎります。
星野リゾート リゾナーレ那須はその土地の農体験や自然体験、
文化交流を楽しむ日本初のアグリツーリズモリゾートとして、
稲穂が広がる美しい日本の原風景や、そこで育つ食の美味しさに滞在中に触れ、
田んぼやお米に興味を持てるきっかけを作ることで、
この状況を少しでも変えたいと思い、同じ思いを持った地元農家と協力し、当プロジェクトを立ち上げました。
稲作本店(FARM1739)
井上さんからのメッセージ
普段お店で買うパックされたお米。
その向こうには、生産の現場があります。
田んぼが日常から遠くなったいま、リアルな稲と触れること。
それは、食卓が風景と結びつくことでもあり、
自然とカラダが一体になることでもあります。
「食べること」と「つくること」の両側を知れば、
これまで見てきた世界に、また1本、新しい線が見えてきます。
お子様と記憶に残る原体験。
一緒にされてみてはいかがでしょうか。
那須の地で150年続くお米専業農家の7代目。
証券会社、監査法人などを経て、病に倒れた父の後を継ぎ夫婦で就農。
稲作本店ブランドを立ち上げ、お米販売と米粉カヌレなどのお米関連商品を
リリースする傍ら、田んぼでカフェ、田んぼでCAMP、直売店をopenする
など様々な取組みを通じてみんなに「開かれた田んぼ」を目指して奮闘中
(R3年、農水省・地産地消優良活動表彰にて、
「全国地産地消推進協議会会長賞」受賞)
お米の学校へ!
黄金に輝く稲穂の絨毯。
ホテル客室のすぐ裏手に広がる田んぼの原風景です。
子どもたちはこの景色を見ることも初めての体験。
「なにこれ?!」
自然が作り出した目の前の景色に圧倒されます。
TIAMが参加したのは5回あるお米の学校のクライマックス、
収穫した稲穂の脱穀から精米。
「結構難しい〜」
足でペダルを踏みながらの脱穀作業。
今ではもちろん機械で行っていますが、昔はこれが当たり前。
大変な思いをして集めたお米。
一粒だって無駄にしたくない!
殻を外すよ。
稲穂からお米の周りの殻を外す作業を「もみすり」と言います。
鉛筆削りのような可愛いもみすり機で少しずつ殻を外して玄米に。
一生懸命ぐるぐるぐる・・・
「えーこんなに頑張ったのに、ほんのちょっとしかできてないの?!」
ご飯の一口を作るのは思っていた以上に大変。
「疲れたでしょ?手伝おうか?」
可愛い助っ人もスタンバイ。
ピカピカの玄米。
これから磨くよ!!!
初めてみる精米機。
玄米だったお米が少しずつ、いつも見ている姿に・・・。
普段は喧嘩することもよくあって・・・
という兄妹も協力しあって真剣な顔。
普段は見ることができないような子どもの表情を見られるのも、
日常では味わえない体験に触れているからこそ。
手間ひまかけても、できるお米は手の上に乗るほどの量。
自分が思っていた当たり前って、当たり前じゃないんだ。
子どもたちもきっと感じているはず。
かまどを利用した羽釜炊きでご飯をいただきます。
出来上がるまではドキドキ・・・
1.2.3...できたぁ!
一生懸命精米したお米が、こんな綺麗なご飯に。
種をまくところから、田植えや収穫・・・美味しいご飯になるためには、
たくさんの人たちの力と思いが注がれていること、
今はわからなくても、きっといつか子どもたちにも伝わるはず。
お米農家が一番美味しいというお米の食べ方とは
炊き立てのお米を、田んぼを見ながら食べること
釜から立ち上る炊き立てのお米の香り。
おかずなんていらないかも!と思えるお米そのものの美味しさ。
そして、一仕事終えて、目の前に広がる田んぼの原風景を見ながら
口にするご飯の美味しさったら。
たのしかったー!
剥くやつ(脱穀)
そこで弟と踊ったり
by 兄
お米作るのも、ご飯炊くのもぜんぶたのしかった
足で踏むやつは難しかった
by 妹
聞いて知るのと、自分で体験して知ることってこんなにも違う
今回お米の学校を経験して一番強く感じたこと。
スポンジのようになんでも吸収する子どもたちは、
経験を通して頭で考えなくても様々なことを吸収していきます。
そんな機会をリゾートにいながら体験できるというのは、
星野リゾートならではの他にはない試み。
毎日当たり前に食べているお米が、どこでどんな風に作られているのか、
その学びが、大人にとっても子どもたちにとっても、忘れられない経験になります。
来年のお米の学校開校が楽しみ!
春までしばらくお待ちください。
Photographer / 神田 豊秀
Writer / 石川 明日香