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Journal – Asuka Ishikawa

高校3年間をカナダで過ごした息子に聞く30の質問

今年6月、高校3年間をカナダで過ごした長男が高校を卒業して帰国しました。

リアルな留学事情やそこから得たもの、など。
これから留学したい、させたい皆さんのお役に少しでも役立つ情報が発信できたら・・・
という思いで、このジャーナルを書くことにしました。

事前にInstagramで募集した質問に、息子が直接お答えしています。
本人が書いたそのままのテキストを掲載しました。

留学のまとめ、としてご覧いただけたら幸いです。

石川 明日香

Before the Journey Begins
― 留学前の準備と英語について

- 留学のきっかけは何ですか?留学に行こうと思った決め手は?

英語喋れたらカッコいいな、と感じたのが始まりだと思います笑。
具体的な何かがあって決意した、と言うわけではなく、徐々に行きたいと言う気持ちが高まっていきました。
何で、と言われれば、わかりませんが...。

- いつから海外に行きたいと思ってた?

母によれば、小学校を卒業するタイミングで既に言っていたそうです。

母補足:
小学5年生の時に行ったNYで子供ながらにカルチャーショックを受けていました。
そこから日本以外に興味を持ち始め、中学受験が終わった6年生の終わりの時点で
「高校は海外に行く」と言い切っていました。

- 出発前の英語のレベルを教えてください。

CEFRという試験でB1だったので、英検二級くらいのレベルだったと思います。
留学してやるぞという思いで、YouTubeでリスニングをずっとしていたり、高校英語の内容を先に全部勉強したりしていました。

母補足:
中学2年?の時に受けた英検3級は面接で落ち、留学直前のTOEICはバス停を間違え受けられなかった、というレベルです。笑


- どのくらいの学力があれば留学できますか?

全く英語ができない人でも、留学して良いと思います!
半年でペラペラになる人もいれば、三年いるのに伸びないという人も見ました。
なので、行ってからどれだけ頑張るかじゃないでしょうか。
僕も最初はやっぱり困難だらけでした。でも、少しずつ上達していきました。

- 留学前にしておくべきことは?

日本食が恋しくならないように、たくさん食べましょう!
あとは、ビザの申請とか。

- 留学先はどのようにして決めましたか?

当時はコロナ禍だったので、確か公立の高校に行ける国がニュージーランドとカナダのみでした。
正直どちらでも良かったのですが、涼しそうなのでカナダにしました。

母補足:
最初のエージェントとの打ち合わせが、ちょうど息子の15歳の誕生日だったのでよく覚えています。
国別の特色を聞き、ニュージーランドよりもカナダの方が勉強も卒業も大変だと言われ「じゃあカナダ!」と、
より難しい方を選んでいましたね。
小さい頃から普段は超がつくマイペースですが、好きなことや興味がある分野のことになると、親も困るくらいに負けん気が強いタイプです。

- どうやって英語の勉強されましたか?

僕は英語を勉強する際、常に声に出す事を意識していました。
文章を読む際やリスニングも、スラスラ喋れるまで何回も言い直してました。

また、これはオススメではないのですが、語学学校に通っていた時は、日本語を一切発しない、という決まりを自分で定めていました。
日本人と出会っても英語で返事をしたり、独り言も英語で喋っていましたね。

母補足:
中学卒業後、4月頭にカナダ入り。9月の高校入学までは語学学校に通っていました。
その間は日本語で話しかけられても、「英語で話してほしい」と英語で返していたそうです。

これを聞いた時は本当に驚きました・・・。
まだ15歳、たった1人で異国に行き、相当しんどかったと思いますが、よくこの環境下で頑張ったなと。涙
(一度も弱音は吐きませんでした)

ちなみに、語学学校の中では最初から上の方のクラスだったので、他のクラスが留学高校生で和気藹々とする中、息子のクラスメイトに若者がほとんどおらず。
集合写真を見たら、外国籍のおじさんとおばさん、大学生に15歳が紛れていてその光景に笑いました。笑

-学校選びどうやって決めたのか知りたいです。

一番校舎がモダンでカッコいい高校を選びました笑。
本当にそれ以外見てません。
なので、素晴らしい高校に出会えて本当に運が良かったです。

母補足:
我が家の場合、留学専門のエージェントを利用したので、本人の中学の成績で行ける地区の学校リストを送ってもらい、一校すつウェブサイトをチェックして確認しました。
ただ、判断基準が日本からだと難しくて・・・本人の言うように、写真で見た校舎の雰囲気などほぼ直感です。笑

日本人留学生がほとんどいない学校だったのに運よく第一希望が通ったのは、かなり早めにアプライしたから!
中3の7月には留学を決めてどんどん進めました。

-学校選びどうやって決めたのか知りたいです。

僕が言えたことではないですが、留学生の受け入れをどれだけしているか、またどこの国からの受け入れが多いか、というのは確認したほうがいいと思います。

僕の学校は同一国からの留学生を数人に抑えていたので、日本人はほぼいませんでしたが、別の高校では日本人だらけで英語を話す機会が少ない、という話を聞いたことがあります。

-留学エージェントについても聞きたいです。
母より:
幼馴染が留学エージェントに勤務していたので、彼女一択でした。
息子は持病を持っているので、何かあったときにすぐ対処してもらえるよう、現地オフィスがあるというのが大前提だったのですが、それもクリアしていました。
ご興味があれば個別にDMでご相談ください!


-留学費用はどのくらいですか?
母より:
よく聞かれますが、国によっても、留学方法によっても大きく変わります。

当時息子は高校のある私立中学に通っていて、学校で留学プログラムがあったので、最初はそれを利用し1年間の留学を考えていました。(息子はそのつもりはなく最初から3年行くと言い切っていましたが)

でも実際によく調べてみると、学年を落とさず卒業するためには留学費用に加え、日本の高校の学費も払わなければならないと。
加えて、一年だと帰国生扱いにならないので、帰国後の大学受験が準備期間1年てすごく大変そう・・・。
それもありせっかく中学受験して入学した学校でしたが、本人の強い意志もあり上には上がらずに留学することにしました。

話が逸れてしまいましたが、留学するのは日本の私立高校に通うよりもお金がかかります。
決して安くはないです。
留学費用とは別に、行き来する航空券代、年間の保険が毎年数十万加わります(想定外)。
それでも・・・本人次第ではありますが、留学させてよかったなと思っています。

今は文科省がやっている「トビタテ!留学JAPANという奨学金制度」などのサポートもあるので、うまく利用するのがいいと思います。

Living the Experience
― 留学中のリアルな日常と気づき

- 一番楽しかったこと、一番大変だったことは?

一番楽しかったのは、他の国から来た留学生と仲良くなって、家に集まったり、一緒に観光地を周ったりしていた事ですかね。
一番大変だったのは、(大学の)受験勉強......。


- 留学先でのお友達とは、今でも連絡を取り合うくらい仲良くなれましたか?

はい!カナダ人の友人はもちろん、先に挙げた留学生と仲良くしています。
ちなみに、スペイン、ドイツ、トルコ、ブラジル人です。

- 留学先での平日・休日の一日の過ごし方をお聞きしたいです。

正直そこまで魅力的なものじゃないですよ笑。

平日は、学校終わったあと、課題をするか、友達と遊ぶか、家にいるかです。留学の後半は、大体家にいるときは、本を読むか、勉強していました。
休日は、気分転換にカフェに行って課題したり、友達と遊んだり、家で自堕落に過ごしたりしていました。

余談ですが、カナダの場合、高校の留学生は、平日の門限が21時、休日は23時なので、あんまり遅くまで遊べません。

- ホストファミリーはどうやって見つけましたか?

高校が手配してくれました!
カナダ人家族で、両親と、3人の息子(一番上が僕と同い年)、犬、猫という構成でした。

- 留学中に何か困ったことはありましたか?

いえ、特に...。
強いて言えば、夕食が18時からだったので、早いな、と思っていました。

- 大変だった事はありましたか?

高校にもよると思うのですが、僕の高校は課題だらけで大変でしたね。
さらにそれとは別に、英語と理系科目の勉強もする必要があったので。

- カルチャーショックとその乗り越え方があれば知りたいです。

西海岸だからか、明るくて気さくな人が多くて、ビックリしました。
例えば、いきなり知らない人達とビーチバレー対決が始まったり、バスの中で合唱する人が現れたりとか...。
良い意味でのカルチャーショックばかりで、乗り越える、とかはなかったですね。
僕は未だにパリピみたいな雰囲気は苦手ですが笑。

- ホームシックになりましたか?

一度もなりませんでした。
珍しいかもしれませんが、日本に帰りたい、とは思いませんでしたね。

- 英語を学んだこと以外で、留学して良かったことはありますか?

次で真面目に回答するので、ここではどうでもいい事を書きますね。

僕の好きな犬種は「ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー」なのですが、この犬はカナダ原産の犬種で、日本で見かけた事はありませんでした。留学してから約2ヶ月探し回り、ついに見つけたときは、とても感動しました。撫でさせてもらいましたが、フワフワで可愛かったです。

- 留学して1番良かったことは何ですか?

ありきたりかも知れませんが、異なる文化圏に1人で暮らし、様々な文化的背景を持つ人々と関わり合えた事が、1番よかったと思います。
自己管理能力やコミュニケーション能力が上がった事はもちろん、それまで僕の住んでいた世界がどれだけ小さいものだったかを、身をもって実感しました。
例えば、僕が持っていたある種の「常識」や「正しさ」や「客観性」は、結局一個人の「意見」であり、僕の育った環境に依存する価値観に過ぎないのだと感じました。

ちなみに、1人で洗濯をするにあたっては、世の中の主婦はすごいな、と思いました。

- 食べ物は美味しかったですか?

さあ…。おそらく日本の方が美味しいですが、そこまで気にしてませんでした。

- 日本の友達と向こうで出会った友達って何か違いましたか?

カナダで出会った友人は政治や国際関係、文化に興味を持ってる人が多いと思います。
ただ、僕の出会った友人がたまたまそうだっただけで、カナダでも日本でも、高校生は高校生です。特に違いはありません。

また、友人は皆おしゃべりで、さまざまな事についてよくディベートみたいな言い合いをしていましたね。
例えば、世界の全てを科学的に説明できるか、とか。(僕はできると熱弁しましたが、言いくるめられませんでした。)

- 日本とカナダの授業、大きな違いはありますか?テストのことなんかも聞きたいです。

とにかくレポートとプレゼンテーションが多い!です。
どの授業を取るかにも依りますが、僕は3年間で累計30回くらいプレゼンをしたと思います。
地球温暖化やベルリンの壁崩壊、シンクヴェトリル国立公園(アイスランドにあります)、コモドオオトカゲなんかについてのプレゼンもしました。

反対に、理系科目を除けばテストは少ないです。
海外のテストは簡単そう、と思われがちですが、そんなことはありません。ある環境学のテストは、選択問題のみのオープンブックでしたが、平均点は17点でした笑。とっても自慢ですが、僕は92点でした。

What Comes Next?
― 留学を経て描く進路とこれからの未来

- 留学後れんくんは日本に帰りますか?それともまだ海外に残りますか?

一度、日本へ帰ります。
ただ、いつか海外で働けたら良いな、とも思っています!

- この先の進路はどう考えていますか?そしてその理由も!

日本の大学へ進学し、物理学を専攻する予定です。
理由は、物理と数学がこの世で1番面白いからです!

- 大学進学を日本と海外とを比較して日本にしよう!と思った決め手を聞いてみたいです。

海外で得た経験と知識が日本でどれだけ通用するのかを知りたい、という挑戦的な気持ちと、あるいは、日本の事をろくに知らないまま海外へ出たので、一度日本についてちゃんと理解しよう、という堅実な気持ちがあるかもしれません。

- 大学受験に向けて、今まで、そしてこれからはどのような対策をしていますか?

高校に在学しているときは、学校の成績を維持ながら、英語の資格獲得のために勉強していました。
また、僕は理系の分野に進むので、それらに加えて、日本の高校数学、物理を勉強していました。

現在では英語の資格は取り終えたので、大学の試験の為に数学と物理の勉強、そして面接や小論文の対策をしようと考えています。

- 日本をどう思うようになった?外に出ると見方変わったんじゃないかな?

とても変わったと思います。
留学する前は、日本は問題だらけだと思っていました。
それは僕が留学を決めた理由の一つだったかも知れません。

ですが、当時中学生の僕にとって、社会問題のことなんか、言葉としては知っていても、実際に理解なんてまるでしていませんでした。そして、むしろ海外に出てみると、改めて日本社会の文化力の高さというものに気づけました。

例えば、子供が1人で外出できる治安。
パッとコンビニで何でも手に入る利便性。
道路や上下水道、電気など基盤インフラの設備。
教育水準は、都市部のみならず日本全体でこの学力を維持しているという点で驚異的です。

前に、イタリア人の友達が、「1番素晴らしい国はどこか」という僕の質問に対して、「イタリア以外あり得ないだろ」と答えていました。それ以来、僕も同様の質問をされた際には、日本以外あり得ない、と答えるようにしています。

社会に対する問題は目につきやすいですが、反対に、当たり前に存在するものは、目につきにくいと思います。
世界のどこでも、何らかの問題を抱えています。ですから、まずは、僕らの社会がどのように成り立っているかを理解する事が大切だと、僕はカナダで学びました。そうすれば、自ずと問題に対するアプローチも浮かんでくる、と僕は信じています。

- 将来どんな大人になりたいですか?

難しい質問ですね笑。
強いて言えば、歳をとっても、周囲に対して対等に接することが出来る人になりたいです。


石川 漣 Ren Ishikawa

Writer

ASUKA ISHIKAWA

TIAM Kids fashion magazine Founder / PR

TIAM Kids fashion magazine 編集長。
メディア運営の他、ファッションブランドのキャスティングやPR、アートディレクションなども手がける。
プライベートでは、海外留学中の高校生の長男、中学生の長女、そして12年ぶりに出産した次女3人の母。
夫婦でシェアしながら、仕事も子育ても自分らしい形を大事にしている。

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