『ぼくといっしょに』は「子どもが世界でいちばん幸せな国」といわれるオランダで2000年に発刊され、
現在もなお愛され続けているロングセラーの絵本です。
オランダの教育で重視されている、子どもの発想力、創造性をテーマにした作品で、
主人公の「ぼく」に誘われてはじまる冒険の物語を通して、自分の頭で考えたり、
読むたびに新しいお話を思い描けるような工夫が随所にちりばめられています。
作者のシャルロット・デマトーンさんの色鮮やかで繊細な絵には、
たくさんの遊びが隠し絵のように描かれていて、子どもの創造性や思考力を刺激します。
翻訳は、オランダ語翻訳の第一人者でオランダ文化の造詣が深い野坂悦子さんが担当し、
子どもたちが主人公と一緒に冒険に出発したくなるような、わくわくした作品に仕上がっています。
ぜひ親子で一緒に、自由な冒険を楽しんでいただきたいです。
あらすじ
ぼくの家のまわりは、冒険がいっぱい!
かあさんに、りんごを買いに行くおつかいをたのまれた、ぼく。
そんなおつかい、かんたんだって思うでしょ?
でも、うちからやおやさんまでは、とっても遠くてきけんがいっぱい。
ドラゴンが住んでいる森や、ぐうぐうといびきをかく巨人、
おそろしいくまが住むどうくつ、海にはひとくいザメやかいぞくまでいるんだから!
さぁ、ぼくといっしょにおつかいの冒険へでかけよう!
ぶじにうにち帰れたら、川でいっしょに泳ごうね。
シャルロット・デマトーン 作
1954年、オランダ人の母とベルギー人の父の間に生まれる。
フランスの高校を卒業したのち、アムステルダムのヘリット・リートフェルトアカデミーで、デザインとイラストレーションを学ぶ。
グリム童話全210話に絵を描いた『グリム童話全集』(西村書店)で、
2006年銀の絵筆賞を受賞、2008年に『Sinterklaas』(未邦訳)で、金の絵筆賞を受賞。
作品に『きいろいふうせん 地球一周』(西村書店)、『Nedarland』 (未邦訳)他多数。
遊び心ある作風が人気で、オランダ国内にとどまらず世界中の子どもたちに愛されている絵本作家。
子どもが世界でいちばん幸せな国、オランダとは(本書「訳者のことば」より)
31の先進国の間で子どもの幸福度を比較した2013年のユニセフのレポートによると、
「物質的豊かさ」「健康と安全」「教育」「日常生活上のリスク」「住居と環境」の5つの分野から、
オランダは「子どもが世界でいちばん幸せな国」だといわれています。
オランダでは、1917年に「教育の自由」の原則が認められて以来、
さまざまな学習方法を取り入れた進歩的な学校が数多く誕生してきました。
現在は、それぞれの教育方法の良いところを反映しつつ、子ども一人ひとりの能力や個性、
発達に合わせた支援を行う個別指導が中心になっています。
オランダの多くの大人たちには、子ども一人ひとりの発見を大事にして、そのやる気を育て、
そこから想像力が育まれるのを待つ姿勢が身についているのでしょう。
本書はそんなオランダの教育に通じるものがあります。