※本人の了解を得て、書いています。
去年の夏は私たち家族にとって、一生忘れることのできない夏だった。
体調の優れない当時中学2年生の息子を近所の病院へ連れて行った時には、
夏バテかな、コロナ禍で運動不足だからかな、くらいにしか思っていなかった。
息子を診た先生が発した言葉。
「一型糖尿病じゃないかな・・・」
その場で大きな病院へ緊急搬送&入院。
「一型糖尿病」と聞いても、周りに患っている人がいなかったので、
全然ピンとこなくて
「ジュースの飲み過ぎ、甘いもの食べ過ぎ、食事制限すれば治るはず」
糖尿病のイメージはそんな感じだった。
だけど、大きな病院に着いて診察を待つ間に携帯で調べていると、
事態の深刻さがだんだん分かってきた。
沢山の先生に囲まれ診察されたあの光景が目に焼き付いて離れない。
「ある日突然、息子が一型糖尿病患者になった」
みんながよく聞く、いわゆる糖尿病は2型といわれるもので、
食事や生活習慣、体質などが重なって起こるもの。
一方で、息子の1型糖尿病は、発症原因不明。
10歳前後の発症が多く、その確率は信じられないことに
10万分の1・・・。
人間は膵臓から出るインスリンのおかげで、
血糖値をコントロールすることができるんだけど、
このインスリンの分泌ができなくなってしまうのがこの病気。
はっきり言って、今の医療では治せない。
じゃあ、どうする?
外からインスリンを補うしかない。
何で?
自分で自分に注射を打たなくちゃいけない。
それも、毎食。
最低でも1日注射を4本。
フラッとスタバに入ってフラペチーノを飲んだり、
小腹が空いてマックでポテトをつまんだり、
夜中にラーメンが食べちゃったり。
みんなが当たり前に行なっていることでも、
息子は注射を打たないと食べられない。
血糖値のコントロールが上手く行えないと、
低血糖で意識を失い倒れたり、
高血糖が続けば合併症が起こることだってある。
最悪の状況は、調べる度に怖くてたまらなくなる。
思春期で、これからたくさん色んな経験をしていくのに、
みんなが当たり前にできることができない。
それがどれだけ辛いことかと想像したら、
なんで息子が・・・という気持ちと、
変わってあげたいのに、何もしてあげられない無力さとで
息子が入院した2週間強、
精神が崩壊しそうになるほど辛い毎日だった。
そんな私を救ったのは、息子本人の言葉。
学校に通うようになると、学校の協力体制が必要不可欠になる。
担任の先生と、養護の先生にも病院に来ていただいて
主治医から説明やお願いがあった。
当然友達にも話しておいた方がいいだろうし・・・
「どこまでカミングアウトする?
仲のいい友達だけに先生から話してもらう?」
教室で注射を打っていたら息子が周りからどう思われるだろうと
心配して聞いたのだけど
「え?別に隠すつもりないよ。
だってさ10万人に1人って逆に凄くない?!
これが俺のアイデンティティーだから」
14歳のこの子は、なんて強いんだろう・・・
息子のこの言葉にハッとさせられたというか、
心配で心配で毎晩泣いていた私とは対照的に、
現実を受け止め、前に進もうとしている息子をみて
「この子がこんなに頑張ってるんだから、私ももう泣かない」
と誓った。
でも、その時を振り返ると、旦那さんがいてくれなかったら
どうなっていたんだろうと思う。
息子と出会って4ヶ月、父になって3ヶ月しか経っていなかったのに、
彼はどんなに忙しくても毎日息子のお見舞いに付き添ってくれた。
入院中に私の展示会が重なって、私がどうしても行けなかった時でさえ、
彼が息子のそばにいてくれた。
妹に
「彼がいてくれてよかったね」
と言われて、本当にその通りだと思った。
母は彼に
「妹は登校拒否だし・・・大変な家に来てもらっちゃってごめんなさいね」
と言った。それもすごくそう思う・・・。
彼に背負わせてしまったものはあまりにも大きいけれど、
彼がいてくれなかったら乗り越えられなかった。
感謝しかない・・・。
1年経って、なぜわざわざ息子の病気のことを書こうと思ったかというと、
まず、この1型糖尿病という病気を1人でも多くの人に知って理解して欲しかったから。
2型と混同されることも多く「糖尿病」というだけで、本人の責任でなったと思われて
しまうことがあるのはあまりにもかわいそう。
もう一つは、発症当時私も悩みに悩んで、ネットで検索したり、インスタの別アカウントを作って
同じ病気の方やそのママパパから情報が少しでも欲しいと思って必死で、
もし同じ悩みを抱える人がいたら少しでも力になりたいと思ったから。
それはこの病気じゃなくても。
私が1型糖尿病を知らなかったように、世の中には知らない病気がたくさんあって、
病気と戦う子供を持つパパやママで、どれだけ辛くて不安でも外に吐き出すことが
できない人たちもいると思ったから。
同じ悩みを抱えている人がここにもいるよって、少しでも安心してもらえたら。
病気を抱える子供とその家族が、この先1人でも減っていくことを祈っています。
私たち家族も、息子がやりたいことができるように、
この先もできる限りのサポートをしていこうと思います!