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先生と私と病院

私は、妊娠5カ月までキューバにいた。

キューバは、基本医療費は無料!

それまでにも、何度か無料の診療を受けたが、設備などに安心感が得られる外国人向けの病院へ通った。

 

担当の先生は、女医さん2人。

2人ともいつも笑顔で診察室に迎え入れてくれて、

「こんにちは、夏子。

調子はどう?」

からはじまり、私の顔を、目をしっかりみて話してくれた。

日本に帰国後、2つの産院に通ったけれど、どちらの病院もカルテやエコーの画面と話しているような感じで、きっと私の名前も顔も覚えていないだろうなと思った。

(でも、産院にはとてもお世話になり、感謝している)

 

そんな印象を日本の病院で受け、キューバの先生達を思い出しては寂しくなり、助産院なら違うのではないかと思って、探したりもした。

(結局、近場ではみつけられなかったけれど)

 

わざわざ、高いお金を出して食べに行った食べ物にあたり、かなり辛く、この外国人向けの病院の救急外来に行った時も、先生や産婦人科担当の看護師さんはすぐに様子をみにきてくれた。

 

帰国前の最後の診察では、先生達と別れるのがつらく、涙を必死でこらえた。

 

 

(アパートで撮った写真)

 

妊娠初期は、なぜかキューバの主食コングリ(豆と米をクミンなどで味付けし、炊いたもの)だけ食べられなくなり、炭水化物ダイエットのような感じで痩せてしまった。

(あの頃は、コングリをみると鳥肌がたった。

そして、私が残したコングリと自分の分と2人分食べていた主人は、みるみる体重が増加した)

主食が食べられず、フルーツを好んで食べていた私に主人が毎回たくさんのマンゴーを買ってきてくれて、あまりにもマンゴーが続いたから、見るのも嫌になった贅沢な時期があった。

(日本では、なかなかマンゴーを食べる機会がなく、本当に贅沢だったなぁと思う)

(マンゴーとグァバ)

 

日本に帰ってきたら、”葉酸”を飲んだ方がいいとか、”腹帯”をしないといけないとか、はじめて聞く言葉だらけ。

あれはダメ、これはダメ、これはした方がいいなどの情報も溢れ、ちょっと疲れてしまった。

 

キューバでいろいろな人に言われたのは、「小麦粉系の食べ物を食べ過ぎてはいけない」、「食後は横になって休む」くらいだった。

 

たくさんの情報が溢れる日本とそうではないキューバ、どちらが妊婦さんにはいいのかなぁと今でも考えたりする。

 

キューバでの病院に通った道のりや先生達の顔、山盛りのマンゴーなどを時々思い出す。

いつか、キューバへ行ったら、子供を連れて先生達に会いにいきたい。

 

(大好きなキューバで授かった子供)

(妊娠中はよく、アパートのハンモックで昼寝をした)

 

Chao

Writer

FERNANDEZ FIS NATSUKO / KANAGAWA

キューバ音楽を聴いた瞬間から、猛烈にキューバへの恋がはじまる。
2016年には、スペイン語とダンスの習得、キューバの生活を体験することを目的に6か月キューバに滞在。
ハバナ大学にてスペイン語を学ぶ。

現在は、キューバ人の夫と男の子と日々キューバの風を感じながら神奈川県で暮らしている。

夫のキューバ風子育てを感心しながら勉強中。

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